とっても珍しい症例と栄養療法

このエントリーをはてなブックマークに追加
Bookmark this on Livedoor Clip
Bookmark this on Yahoo Bookmark
LINEで送る

あれ?どこ?タマタマはどこ?

タマタマが玉袋にありません。

正常であれば、

男の子のタマタマは、生まれた直後にお腹の中から玉袋に移動してくるはずです。

この子の場合、どうやら、

ふたつともお腹の中に残されたままのようです(猫ではとっても珍しいです)

潜在精巣1

この子は成長期から膀胱炎を患っていて、

治療に時間を要していました。

さらに

膀胱炎の治療とタマタマ捜索のため麻酔もかけるものの

麻酔も安定しないという嫌な状況でした。

その時の血液検査がこれです。

(分子栄養学的な読み方は別にブログにします)

潜在精巣2

潜在精巣3

10か月齢で若いのに

赤字で異常値が多く

低値での異常でした。

分子栄養学的には

様々な栄養不足が起こっていると判断します。

免疫力が低く膀胱炎が起こっているのも

麻酔が安定しないのも

栄養不足から起こったと考えると

合点がいきます。

潜在精巣4

では、なぜ、こんなことが起こるのでしょう?

それには

3つの原因があると考えられます。

①成長にたくさんの栄養素が必要だったこと

②この子の腸の消化吸収能力が低いこと

②消化吸収効率の悪いフードを食べていたこと

です。

そこで

この子は

①成長期が落ち着くまで待つ

②消化吸収の良いフード(FINEPET’s)に変える

③麻酔前に※亜鉛を飲んでもらう

という計画を立てて去勢手術をしました。

※亜鉛は炭酸脱水素酵素の活性中心で腎臓での二酸化炭素排泄に深くかかわります。

潜在精巣5

すると

麻酔はとても安定し

なんの不安も感じぬまま

手術を終えることができました。

潜在精巣6

写真は手術翌日のものですが、

いつも通りキゲンがよく

病院で出すおもちゃに反応を示していました。

飼主様によると

「手術した当日からいつも通り元気だったので驚いた」

と満足してくださったようで、私もうれしくなりました。

健康な犬猫に実施する

避妊去勢手術だからこそ

十分な安全性を確保しなければなりません。

当院では、

より詳しい栄養学的な血液検査も取り入れて、

診療や手術を行っております。

愛犬や愛猫の栄養状態を把握したい場合は

是非、お声掛けください。