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免疫介在性溶血性貧血(以下IMHA)という病気は血管の中で
赤血球を壊してしまう自己免疫疾患で
ほとんどが発症して50日以内に
亡くなってしまう
おそろしい病気です。
それは
診断が難しく。
2006年から2012年までに
一般の動物病院からIMHAとして診断され
麻布大学付属動物病院に紹介されたうち31例中14例は
IMHAではなかったそうです。
(infoVets No.181)
特徴は
血液を作る能力が無事であるけれども
壊してしまう
再生性貧血ということです。
再生性貧血かどうかは
どうやって決めるかというと
網状赤血球産生指数(以下RPI)というもので
測れます。
貧血がある時期に
RPIが2以下であれば、
再生性貧血ではない。
つまり骨髄で血液を作る能力がないと判断します。
IMHAだけであれば
血管の中で血液が壊されて
骨髄で血液は正常に作れる
再生性貧血であるため
RPIが2以上になります。
図の子は
IMHAかは置いといて
骨髄に問題があるか
その他、栄養、その他の疾患も強く疑われます。
この場合
麻酔下で骨髄検査をするのですが
貧血であることや、ステロイド、免疫抑制剤で
体はだいぶん弱っています。
なので、
骨髄検査はせず、しっかりした診断はしないまま
副作用がほとんどない
脂肪幹細胞移植を実施することを実施しました。
幹細胞移植で
貧血を改善、薬を減薬して
のちに正確な診断をつけることも
ときには必要です。
でないと
診断を考えている間に
病気が進行したり
薬の副作用で大変なことになります。
すると
薬に抵抗性だった貧血は改善
ステロイドや免疫抑制剤は
飲まなくていいようになり
その結果
薬の副作用から解放され
みるみうちに元気なりました。
残るは診断なのですが
この子の場合は
①亜鉛不足が重度であること
上の結果は
高容量の亜鉛を一か月飲んでいるのに
亜鉛が少ない状態です。
亜鉛を飲む前は
さらに重度の亜鉛不足が予想されます。
亜鉛とコレステロールが不足すると
正常に男性ホルモンが合成されず
貧血が起こります。
②病気の発症が「膵炎」から続発した
膵炎を患ったのちに貧血が始まったことが聴取されたので
膵炎に関係する貧血も考えられます。
膵炎になると、ビタミンB12の吸収が悪くなるので
ビタミンB12の不足
つまり
悪性貧血が起こりえます。
また、
膵炎により肝臓周囲の血管の血流が悪くなると脾腫が起こり、脾腫によっての貧血も起こりえます。
小さいころから
胃腸が弱く
①と②
どちらにせよ
栄養面でのアプローチが必要です。
今では栄養療法により
ずっと患っていた胆泥も消え
下痢することもなくなりました。
その他
ものすごくまれに
骨髄での自己免疫疾患など
ありますが
現状は
薬も少なく
元気で貧血のコントロールもできるため
骨髄検査は
必要におうじて、飼主さんと
相談して決めていく予定です。
この子のつづきはコチラ→犬に漢方が効くことにハッとした話