-
最近の投稿
アーカイブ
カテゴリー
投稿日カレンダー
2024年11月 日 月 火 水 木 金 土 « 6月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
キズくっつくかなー?
治らないかもなー?
大丈夫かなー?
この子は
腸コロナウイルスという
下痢を起こすウイルスに感染。
3か月間
ずっと下痢をしていていたようです。
下痢をほっときすぎて
腸が激しく動き
腸が腸を飲み込む
腸重積
という状態になって
来院されました。
エコー検査で腸が腸を
飲み込む様子が写ります。
腸は栄養を吸収する
臓器。
腸が悪いと
タンパク質が不足して
クレアチニンや総蛋白、血中尿素窒素やアルブミン
の数値は低値になります。
また、脂質の吸収も悪いので
コレステロールも低値です。
アルカリ性フォスファターゼの低値は
亜鉛不足
が疑わしいです。
ほぼすべての栄養素の不足が予想されます。
むむぅー。。
くっつくかなー。
写真はこの子の腸
腸が腸を飲み込む腸重積の様子です。
矢印の方向に飲み込んでいます。
ガーゼで
やさしく
飲み込んだ腸を押し戻します。
全部押し出した状態です。
ガーゼを敷いた部分は
腸がダメになって
破けて
バイ菌まみれの腸の中身が漏れ出ていました。
ダメになった腸を
切って
取り除き
切った断端を
つなげて
手術を終えました。。
んー。くっつくかなー。
つなげた腸が
治って
くっつかなければ
腸からバイ菌が漏れ出して
大変なことになります。
術後
予想していた通り
ぐったり
栄養状態が悪すぎて
治癒能力が
少ない状態です。
酸素室で
ゆっくりしてもらい
他の子からもらった脂肪から
培養して増やした
幹細胞を移植しています。
(-80℃で冷凍保存していました。)
幹細胞は体の悪いところに
駆けつけていき
悪いところを治す性質があります。
腸が閉塞していたところ
腸を切ったところ
手術の傷
をスムーズに治すことができます。
骨折治療に使えば
折る前よりも
骨が太くなる子もいるくらいです
すると
夜中には
すっかり元気。
翌日の朝には
水に溶かした
チュールを
死に物狂いで欲しがります.
食事がしっかりとれるのを
確認して
術後5日に退院となりました。
さて
子供のころ見ていた
漫画やアニメ。
キズをおって
カプセルに入ったら
前より強くなって出てくる
このカプセル。
おそらく
通常医療に加え
栄養学や再生医療の知識が
たくさん詰まったこの機械。
こんなロマンの詰まったものが
出て来る日も近いかもしれません。
そんな
ことを考えさせられる手術でした。